PMO:クライアントに意思決定をさせることがPMOの重要な価値となる。~時には意思決定に追い込む編~

前回の記事から間が開いてしまいましたが、PMOにおける重要な役割である”クライアントに意思決定をさせる”ということについて、最後に決められない意思決定者の追い込み方についてもう少し深ぼっていきたいと思います。

なぜここまでしてPMOは意思決定を追い込むのかというと、それは何よりPMOがプロジェクトの推進について責任を負っているからです。プロジェクトマネージャーがいれば淡々と進んでいくプロジェクトもありますが、PMOを、それも高額なコンサルティングファームに依頼しているわけですから、単純には進まないプロジェクトだということです。その中でわざわざPMOを入れるのはプロジェクトを前に進めるためだと考えるべきでしょう。だからPMOの大きなタスクのひとつとして進捗管理も行うのです。

前回に引き続きPMOの重要な役割について。今回は特にクライアントやプロマネの意思決定を加速させるために、具体的にどのような手順を踏む必要が...続きはこちら。

■そこに明らかな答えがあっても、相手が納得する提示の仕方をしなければ意思決定はされない。

たとえ自分が「100%この案だ!」と思ったとしても提示の仕方は相手(意思決定者)に合わせる必要があります。相手も検討するまでもなく「そりゃそうだろ」と言えるような”相手が熟知している内容・相手にスッと入るロジック”であれば、案を1つに絞って提示し

「これで進めたいと思いますがよろしいでしょうか」

と持っていけば良いですね。多忙な意思決定者もまどろっこしい説明をなしに「Yes!」と言えばいいだけです。

もちろん回答がスムーズであっさりYesが取れてしまうと「なんだよあっけないな。ここまで準備する必要なかったんじゃないか」と思うこともあるかもしれませんが、あっさりしていたのは準備が良かったからだと思いましょう。決して無駄ではありません。

一方で自分たちは「100%これしかない!」と思っていても、相手の認識している情報からは一瞬でその判断ができないことは多くあります。意思決定者は上位者であり、現場レベルの細かい情報を全て把握しているわけではありません。

なのに「これで進めたいと思います!」と1案だけを持っていくと

「本当にそれで正しいの?他にもこういうことが考えられるけど、それらよりもこの案が良いの?」

という疑問をもたれ「次回までにもう一度広く案を比較した表を持ってくること」みたいな宿題になります。つまり結論は一緒でも、意思決定が先延ばしになり時間がかかります。そのため相手の情報量や慎重さに合わせて「100%これしかない!」と思っていても、ボツにした案とボツにした理由をしっかりと載せることで”意思決定者に一瞬で納得感を持たせる”ことが重要なのです。

短期で物事を進めているプロジェクト、役員など忙しい時期にはいつミーティングを持てるかわかりません。だからこそ1発で意思決定を決めないといけないんです。

■「決めたがらない」意思決定者は残念ながらたくさん存在する。

残念ながら、率直に言えば世の中は”意思決定をできない人”がたくさんいます。それこそ役員クラスまで出世している優秀な人たちの中にも、たくさんいるのが事実だと思います。僕のこれまでの実感からそのように感じています。

特に日本の大企業となると、もう意味がわからんぐらいたくさんの重役がいます。それだ重役がいればそれぞれの担当がクロスしている(重なっている)わけですが、それによって

「一番最初に本件の意思決定をした人が責任を問われる」

というネガティブなシチュエーションが発生したりします。これが思い切った意思決定を阻害し、さらには意図的に意思決定を渋って先延ばしにする事象を産んでいます。つまりある程度経営に近いレベルの意思決定においては、”決めないこと”が身を守ると考えられていることがあります。決めなければ失敗した時に責任を追及されることがないという考え方です。これではその個人の立場が守られることはあっても、企業として意思決定が早く競争力が高まることはないでしょう。

他にも、部署に近いがゆえに現場メンバーに気を使いすぎて「各チームの合意を取ったのか?」と執拗に聞いてくるだけで、自らトップダウンの意思決定をしない人もいました。つまり部下や他部署の機嫌を伺いすぎて自分で決めないということですね。チーム間で完全に折り合いのつくことばかりではないので、こういった場合は永遠に決まらなくなります。

■「決めたがらない」人に対しては追い込むことも必要。選択肢を奪ってYes or Noのクローズドクエスチョンに持ち込む。

こういった意思決定をできない人に対しては、最終的にクローズドクエスチョンに持ち込みます。3つの選択肢から比較して選択してもらうのではなく、もはや”はい”か”いいえ”に絞ります。

実際のビジネスにおける複雑な状況では、Yes or Noではっきりするようなことは少ないですよね。でも人間の心理として、「どっちがいい?」と2択を迫っても決められない人はいますが、「Yes or No?」とまでシンプルに問い詰められるとどちらかを決めるものです(だから雑誌の心理テストフローではYes or Noで選択する方式になっている)。

好ましいことではないのですが、どうしても必要に迫られればこういったYes or Noに追い込んで意思決定を迫ることがあります。つまり雑誌の心理テストと同じなんです。

「あなたはデスクの整理ができていますか?Yes or No?」

みたいな分岐を多数たどっていくと、「あなたの血液型はA型っぽい」とか「B型っぽい」みたいな複数選択肢の結論が出るわけです。これと同じように、最終的には3択だったとしても、意思決定フローと作成してYes or Noで質問を投げることで、

「では3案のうち、B案しかないですよね?」

というグゥの根も出ない意思決定の追い込みをしていくわけです。大事なのは相手のプライドを逆撫でしない程度に、周囲の人間がいる場で相手の言質を取りながら進めていくバランスが重要です。まぁ意思決定者を心理的に追い込んでいくわけですからWelcomeな感じではないでしょうし、結果にコミットするコンサルタントとはいえ一歩間違うと嫌われがちなやり方ではあるでしょう。

その意思決定者のさらに上長が発注元(Project Owner)だったりするとやりやすかったりしますが、純粋に相手を思って結果を重視すれば、こうしてクライアントを追い込むことだって必要です。