資料作成:文字だらけスライドの諸悪。そしてそれが生まれる理由。

メンバーから資料のレビューを求められた際、たまに出てくるのが文字だらけのスライド。皆さんもそんなモジモジスライドは何度も出会ったことがあると思います。自分が資料レビューする立場として見かけるだけでなく、ミーティングの中で相手から提示されても、

「ああ、、、キツイ、、、」

と思ったこともあるんじゃないでしょうか。僕はクライアントメンバーが同じくクライアントの偉い方にこういったスライドを使って説明しているシーンを客観的に見ることもありますが、案の定うまくいかず色々と言われてしまっていることも多いです。もしコンサルタントである自分自身がやってしまうこともあるようなら、なおさら反省が必要ですね。

今回はそんなモジモジスライドの諸悪、そして簡易的な対策について書いていきたいと思います。

モジモジスライドは相手に何を引き起こすのか

まず何より「読む気が湧かない」ということです。これは普段生活で見かけるキャンペーンの超細かい条件説明のような、あの読む気が湧かない気持ちと根本は一緒です。

加えて特に若手の人たちは勘違いしていることもあるのが「仕事なんだから上の人も一生懸命読んでくれるだろう」ということ。もちろん仕事なので話を聞くつもりでミーテイングに参加してくださっていますが、これはNoだと思いますね。役職が上がってくると状況を理解しておかなければならない業務範囲は広くなっていきますが、脳のキャパシティが上がっていくわけではないので頭に入れておく情報を取捨選択するようになります。つまりは概要と要点だけ抑えに行き、現場に任せればいいディティールはインプット優先度が下がります。

それに時間も限られているので情報のインプットも効率的に行いたくなります。自分で全部の関連資料を端にまでに目を通すのは時間が勿体ないですし、部下から受ける説明についても要点から外れた部分をダラダラ説明されたり、的を射ない遠回りな説明が疎ましくなってくるものなんです。

そんな状況で投影される文字ぎっしりのスライド。大きな提案書のエグゼクティブサマリならまだしも(これも個人的な感覚としては海外文化が根付いてないと、あまり日本企業で効果的には思わない)、個別具体の検討報告・相談において文字を大量に並べたスライドは、多くの場合要点以外のディティールや余計な日本語表現(丁寧表現や接続詞など文章表現では必要だが、スライドライティングにおいては割愛できること)が入っています。

その結果ミーティングはどうなってしまうんでしょうか?

よくあるのは、

  • 一見聞いているようで頭に入っていっておらず、別のことを考えられていたり、オンラインミーティングだと画面見ているようで投影資料以外のウィンドウを見ていたりする
  • 同じく頭に入っていかないので、説明者の意図していない方向や、論点とズレたコメントをされて合意に至れない
  • そもそもスライドの長文をダラダラ読み上げている途中で説明を遮られ、相手の知りたい要点だけ一方的に質問される
  • 「何を言ってるのかわからないよ。もう一度整理し直してきて」的なことをはっきり言われて出直しになる

みたいな感じでしょうか。皆さんもこんな状況を見かけたこと、あるいは味わったことがあるはず・・・

当然、これでは物事がうまく進んでいる状態ではないですし、こういう資料作成自体をやめない限り毎度毎度同じようなひっかかりかたをして、いわゆる”仕事ができない人”と思われるようになります。

モジモジスライドはどこから生まれてくるのか

誰しも悪意があってモジモジスライドを作るわけではありませんよね。ではモジモジスライドが生まれがちなシチュエーションをまず理解しておきましょう。

まずは単純に論点や要点が捉えられていないケースです。特にコンサル初歩に多いのがこれ。何を要点に据えればいいかわからなくなると、不安を補うために色んな情報を入れて保険にしようとするわけです。それと同じく若手に多いのが”やったことをアピールしたい”という自分目線が強くて、やっていることは意味があるがマネジメントに披露されても価値のない事をひたすら盛り込み、情報過多になることも多いです。

次のパターンは頭の回転が速い人に起きてしまうことですが、あれやこれやと気が回るがゆえになんでもスライドに書いておいてしまう。つまり余計な補足が多いということです。現場では”仕事が早い人/色々なことに気づける視野が広い人”なんて思われていることもありますが、要点を絞って簡潔に話すのが苦手な人っていますよね。失礼ながらクライアントのベテランでオペレーションに欠かせないけど、役職が高くない人にもこういうタイプがいがちです。こういう人は職人肌だったりすることもあり、ミーティングしていても色々な情報をたくさん喋ってくれますが、とりとめもなかったり論点が本題から逸れていきがち。。

良い言い方をすると、コンサルタントだとこういった頭の回転や視野の広さを持つこと自体素地は良いので、こういうタイプは早いうちに矯正されて成功していく人が多い気がしますね。

最後に結構難しいな、と思うのが中堅層でも発生する”ミーティングの準備をしたけど、半端な状態だから文字だらけスライドが出来上がる”です。これはバタバタとマルチタスクで忙しいマネージャー層とかで、手ぶらでミーティングに行くわけにはいかないから事前に内容を整理する気構えはあるが、準備時間が取れなかったときに発生しがちなパターンです。

ミーティングに向けた準備を超ざっくりレベル分けすると、以下です。

①手ぶらでミーティングに挑む
②手ぶらじゃマズいから、話すことの事前棚卸をして、それをスライドにメモのように書いておく
③話すことを事前棚卸したうえで、資料もしっかりと準備しておく

当然、コンサルタントとしては常に③でクライアントミーティングに挑みたいところ。ミーティングは準備が8割ですからね。

でも昨今の支援の仕方の中で、クライアント業務に入り込んでの支援スタイルもかなり増えてきていることから、パッと準備してパッとミーティングしなければならないことも増えてきていると思います。そんなときに「もちろん事前にミーティングで話すことを準備する」のはとても良い事ですが、時間の都合から②のケースで妥協することもあると思います。

「手ぶらで行くぐらいなら、ザーッとスライドに話の内容が文字で書かれていたほうがマシ」

そう思う人もいて、そしてそれを否定することもできないのですが、僕の推奨はモジモジスライドを出すぐらいだったら手ぶら、できれば過去資料そのままの転用でいいので”議題の全体像が分かる資料”を投影しながら口頭で説明するのをお勧めします。ただし事前に話の内容を整理することは必須で、ただそれは投影に使わずに口頭で話すためのトークスクリプトにしたほうが良いということです。

人の脳は、五感の多くを同時に使うほど集中力が分散してしまう。それにコンサルタントは対話を主体にすべきだと思う。

「どうせそのまま話すなら、それを文字で書いておいて投影するのでもいいじゃん」

と思う人もいると思います。

でも人は五感のうち多くを同時に使うほど、分散してひとつひとつの集中力が落ちると思うんです。だからたとえ話している内容と投影されている資料の文字列が一緒だとしても(字幕のようなもの)、文章を読みながら人の話を聞くのは一定集中力が薄まると僕は考えるのですね。ちゃんと内容を理解しようと努力してくれる相手ほど、一生懸命資料を読み出してくれるのですが、逆にその間はあまり話に集中してくれなくなってしまうんです。

それと僕たちコンサルタントは、紙芝居を見てもらうよりも目を見て話を聞いてもらう、対話するほうが本業です。コンサルタントに限った話ではないですが。クライアントあるいは上司との対話において資料はあくまで補助的な存在であって、対話で相互に正しい理解やスムーズな合意ができるのであれば資料はなくてもいいと考えています。だから言葉にする内容と資料文面がが全く同じ粒度/同じ文章であったら、補助でもなんでもない考えます(カンペの役割なら手元でいい)。

なのでこういったモジモジ文章を投影しながら話すぐらいなら、口頭のみで話した方がいいと思うのです。それで伝わらない内容は、きっと整理が悪いので文章で書かれていても伝わらないことも多いです。。

僕がこういう状況になった場合は、全体像を表現している過去スライドを持ってきて、今回どこについて話しているか指し示しながら口頭説明するか、あるいは都合のいいものがなければ文章ではなく”箇条書き”でスライドを用意します。箇条書きとはAgendaぐらいの粒度を指していて、たとえば

  • 施策の収益構造
  • コスト負担部門の想定
  • コスト負担部門との交渉ステップ

ぐらいの粒度です。細かいことは書きませんし、文章で書くと余計な文字が増えるので避けます。要は「何の話をするんだっけ?したんだっけ?」が最低限わかるぐらいでいいと思います。

ということで文字だらけのスライドの諸悪について書いてきました。ついやっちゃうことがあるな、、、と思う人はうまい回避方法を整理することをお勧めします。