前回は社員代替として優秀なコンサルタントを雇う、いわゆる業務支援系の仕事が増加していること、そしてそれを上手く回していくことも求められているということを書きました。前回の記事はこちら。
こういった業務支援の案件を上手く回す方法を検討するにあたって、”メンバーのパフォーマンスをクライアントに上手く見せる”というのがあります。今回反ソの必要性について書いていきたいと思います。
■人的リソースの提供においては、メンバー個々人ごとに人月単価とパフォーマンスのバランスを見られる。
中期経営計画策定の最終報告が成果、のようなケースではその報告内容と発注金額のバランスで妥当性を見ます。これはこれで妥当性の判断が難しい側面はありますが、コンサルタントチームとしての最終アウトプットを見るのであって、クライアントはあまりコンサルタント個々人のパフォーマンスを見て評価するものではありません。
ですが業務支援の場合は人的リソース派遣なので、”1人1ヶ月でいくら”という人月単価で測られやすいです(通常5人で合計XXX円/月と合算で提示し、バイネームの単価はクライアントに公開しない。これについては後述)。それに加え、ワークスタイルとしても同じチームでクライアントとメンバー個々人が仕事をすることが増え、要はコンサルタントメンバー個々人のパフォーマンスがクライアントに露呈しやすくなります。
■業務支援ではクライアントからバイネームでメンバー交代を求められることがある。
もっというと名刺に職位は書かれていますから、
「AさんとBさんは同じ職位なのにAさんの方が遥かにパフォーマスがいい。AさんとBさんは職位が同じということはほぼ同じ単価のはず。つまりAさんの方がお得だ!」
となるわけです。
残念ながら「Aさんがお得だ」と考えられるケースよりも、「Bさんは損なのではないか」と見る目が厳しくなるケースの方が多いのが人間というもの。このとき実際にBさんのパフォーマンスが平均値よりも悪いと、相対的にクライアントから厳しく指摘をされるようになるわけです。そして最後には「Bさんの契約だけ解除するか、入れ替えてくれ」と言われるわけです。
もちろん自社側であるコンサルタントチームのリーダーが「B さんはパフォーマンスが悪いからプロジェクトから外す」ということもありますが、特に業務支援の場合は上述のようにクライアントを起点とした交代の要望(クレーム)が発生してしまうことがあります。
■平均レベル以下のメンバーも、成長するまでは”クライアントに良く見せる”工夫が必要。
前回の記事でも書いた通り、昨今のコンサルティングファームは企業規模拡大に伴い人材の質が薄まってきているわけですから、一定は平均レベル以下の人材も回していかなければならないわけです(でないと育成の余地がないし、メンバーを入れ替えても優秀なメンバーが入ってくるとは限らない)。
「自分でパフォーマンスを上げられないやつはコンサルティングファームでは淘汰されて然りだ!ファームの質とブランドを維持するためにはそういった代謝が必要だ!」
そう言いたくなる気持ちはわかりますが、そうやってパフォーマンスイシューによるメンバーリリースをやり過ぎると、プロマネが本社から怒られるのが実情です。よって簡単にリリースはできず、育成に力を入れる必要性が高まりました。
当然育成は常に行なっていくべきですが、それでも急に成長するわけではありませんよね。そのためコンサル未経験で中途入社したてのようなメンバーは“ある程度かばってやる、クライアントへの見せ方を考えてやる”必要があるわけです。個人的には本質ではないと感じながらも、事実としてそのような気を払っていますし、コンサルタントチームの上位層が集まるとちょくちょく話題に上がります。
次回はこのメンバーの見せ方について考えていきたいと思います。