コンサルの上手な使い方:コンサルを高級派遣でズルズルと使ってはならない。~コンサル目線編~

高級派遣だ、と揶揄されることも多いコンサルティング業。

実際に常駐を許容して支援を行う場合はこういったケースも散見されるのが事実です。コンサルティングとひと口に言ってもいろいろなパターンがあります。ピュアな戦略ファームにはあまりパターンがないのかもしれませんが、特に業務コンサルティングではパターンが多いです。

準委任契約だとしても、

  • 特定の期間で報告書を作成する、持ち帰り検討型案件
  • 特定の期間で特定の行為(BPRやシステム要件定義・PMOなど)を行うミッション型案件
  • あまり期間を指定せず、業務スコープを決めてクライアント業務を支援し続ける伴走型案件

といった感じに分けられるのではないでしょうか。案件の型名は僕の今この瞬間の思いつきなのであしからず。

このとき高級派遣化しやすいのは3つ目の伴走型支援です。これについていくつかの視点から行うべきことを話していきたいと思います。

■まずはコンサルタントそのものの目線。

まずはコンサルタントの目線から。やはり何よりも多く聞くのが

「こんなのコンサルの仕事じゃない」

というモチベーションの低下。

僕は常々、持ち帰り型案件以外ではクライアント側も”コンサルの使い方が上手”である必要があると考えています。コンサルの使いどころを良く理解している方が、依頼としても費用対効果が高く、かつコンサル側もパフォーマンスを発揮しやすいという双方に良い結果になると考えています。(これについてはいずれどこかで説明したいですね)

一方でコンサルティングファームをこれまで使ってこなかった企業にも、近年コンサルティングの裾野は広がっています。そのためかコンサルを使い慣れていない方々も多く、特に現場レベルでは”とりあえず面倒なこともなんでもサクサクやってくれる人たち”ぐらいの扱いを受けることもあります。

複雑で面倒ではあるがいわゆる作業だったり、御用聞き状態の資料作成だったり、極端な例ではひたすら面倒な会議調整をしたり・・・

本来難易度の高い仕事に挑もうと高いモチベーションを持っていたメンバーのやる気は、これで削ぎ落とされたりします。。なんせ「ここは辛くても全体最適を考えこうするべきです!」と高い志で改善を進言しても、当のクライアントメンバーがそれに対して腰が重かったりするのですから・・・

一方でコンサルタントも、このヌルい世界の楽さにハマってしまう人もいます。やっぱり特定の期限とミッションを抱えずに、一定クライアントメンバーに気に入られてしまったりすると、めちゃめちゃ楽なモードに突入するわけですね。「この楽な感じで十分な給料をもらえるのか・・・」というぬるま湯にハマってしまうと、また過酷で辛い紙一重のコンサルティング案件に戻りづらくなります。気持ちはわかるのですが、コンサルティングにおけるスキルが伸びていかないのでいずれコンサルティングキャリアとして詰まるリスクが高まります。

■一方でコンサルティングファーム営業目線。

ファームの営業的な目線で見てみましょう。

ファームによってそれぞれですが、一定以上偉くなると売上目標を持たされるわけです。この目標値は当然ながら自分さえずっと案件で稼働できていれば達成できるものではなく、自分の配下のメンバーにレバレッジを効かせて、ある程度の規模or件数の案件をあまり途切れることなく回している必要があります。

そうなると特に総合ファームでは”単におもしろそうな仕事”を選り好みする余裕はなく、”期間”が長かったり”人数規模”が大きな案件を狙いに行く必要が出てきます。なので結果として(一人当たりの単価は低くても)システム案件を大きく取ることが大きな稼ぎになるわけです。

一方でシステム系のスキルを持っていない人もいます。またシステム開発を請け負うような大規模なアウトソース先、そもそものファーム規模がないところもあるでしょう。そうなると期限がなく、クライアントが中毒症状を起こしやすい伴走型案件でジワジワと人数拡大することの魅力が非常に大きくなってきます。

こういった案件があると一定の収益を安定して上げ続けるので(しかも上の人間や営業からすると面倒を見る手間がかからない)、売上目標に対する土台になりやすいのです。

「もうこの高級派遣案件を抜けたいのに、本社が抜けさせてくれないんです」

という可哀想なメンバーが世の中には存在しますが、これはこういった力学が働いています。こういった案件で重要なのは”クライアントに気に入られているメンバーの存在”なのですから、抜けてもらっては困るわけです。

次回はクライアント目線から高級派遣について考えてみたいと思います。