PMO:クライアントに意思決定をさせることがPMOの重要な価値となる。~人は意思決定できない編~

「PMOって何をする機能なの?」

と言われると、ついPMBOK(Project Management Body of Knowledge) ってのがあってね・・・とアカデミックなことを言いたくなりますが(嘘です、なりません。笑)

「PMOで重要なポイントはなんなの?」

と聞かれると答えは違います。
この質問はプロジェクトの管理という”何をやるべきかはなんとなくわかるけど、うまくいかないこと”に対して、そのコツが知りたいのです。まぁPMBOKなんぞググればその場で概略がわかりますし、、、

特にクライアントからの質問でPMOのポイントを問われる際には、そんな定型文のような回答は求められていません。クライアントに刺さるポイントをビシッと回答しましょう。

ただしPMOは非常に曖昧なタイプの仕事で、クライタントによって支援のポイントや、期待値も異なるので、かなり臨機応変な対応が必要です。最終的にはプロジェクトが成功するよう導くことですが、それを言っても

「そんなことわかってるけどさ」

と言われるだけですね。

■重要なポイントはプロマネ(or クライアント)に意思決定をさせることだ。

PMOで重要なポイント、それに対し僕は”プロマネに意思決定をさせること”だと答えます(必ずプロマネのプライドを配慮した言い方にする)。プロマネとはプロジェクトマネージャーで、企業によってPMと言ったりプロマネと言ったりしますが、要はその時々の最重要意思決定者です。

「あれ、末端までを管理することじゃないの?逆に上位者に対して管理するの?」

と思われるかもしれませんが、まさにその通りです。PMBOKをベースにプロジェクトの各現場チームを管理していくのはもちろんですが、それに加えて重要なのがプロマネ(orクライアント)に意思決定を迫ることです。

近年はPMOという概念も定着しており、(今さらですが)その中で現時点でPMを担当している役職に限らず、全メンバーにプロジェクトマネジメント研修を受けさせる会社もあります。

さらに無償のwebツールも含めて、プロジェクト管理ツールが普及しています。プロジェクトに関わる各メンバーも、面倒とは思いながら進捗や課題などを入力しなければならないという”義務感”を持ってくれています。

そんな中で状況を可視化するというのはPMOをやるなら当然。高いコンサルティングフィーをもらってまで提供すべきは、意思決定をコントロールする戦略的PMOであるべきです。そしてPMOに限らず、コンサルタントはクライアントに意思決定をさせることが大きなミッションのひとつであります。

■人は案外判断できない。しかしサクサク判断することでプロジェクトは大きく加速する。

プロジェクトにおいて課題が発覚する、あるいは先を見据えた計画を立てるなどトリガーはいくつかありますが、プロマネがパッとその場では決められない事項がたくさん発生します。

でも現実では

「これが正解です!」

みたいな100点がとれる選択は稀で、ゴールに近づける一方で何かしら諦めなければならないことがあったり、リスクを覚悟しなければならないような選択が大半です。つまり答えを選ぶのではなく、最善策を選ぶという感覚です。

取るべき選択肢が明らかでなかったり、そもそも何を判断しなければならないのかわからなかったり・・・あるいは決めなきゃいけないのはわかってても思い切りが足りなかったりして、人は意思決定がなかなかできません。

ここまでの意思決定課題を理解し、自分たちではできないと謙虚に飲み込んだうえで外部にPMOを委託する方も少ないですが、います。これを上手な外部の使い方であると僕は思います。
その一方で偉い人が部下のプロマネ力を信頼しておらず、トップダウンで外部PMOを入れるといった場面も散見されますが、、、

■クライアント側であれば、このように「何が重要と思うのか」を聞いてみる。

やや曖昧であるものの、こういった質問を投げかけてみると、その回答によって個性やレベルが見えやすくなるように思います。模範解答が用意されていないがゆえに、その人の考えがモロに回答に出るためです。

思いつきベースの”例えば”にはなりますが、PMOの重要ポイントの回答例を挙げてみます。

●スケジュールを守らせることがポイントだと答える
→PMBOKをベースに定常的なプロジェクト管理を行う、いわゆる”管理的PMO”であると思われる。ただしスケジュールとは一般的な回答でもあるため、スケジュール遅延を防ぐために本プロジェクトではどのような点に気を付けたらよいか、など質問を深堀りしたほうが良い。

●管理対象の各チームの相談役になることがポイントだと答える
→ドライで定量的に進捗や課題を管理していくだけでなく、現場各チームとの信頼関係構築に重点を置いている。現場の1次情報を積極的に取りに行き、大きな進捗確認会議体で発言しづらいような小さなリスク、人間関係などの課題を拾える可能性が高い。コミュニケーション能力やフットワークの軽さが感じられる。

などなどです。
もちろんいずれも重要なことではあるのですが、中でも最も重要な1つに何を選択するかが、そのPMOの個性やレベルを示すヒントになります。

クライアント側であれば、こういった質問を投げることで”PMOという曖昧なサービス” の提供レベルを測っていくことが必要です。僕も協力会社の選定や、中途採用面接でも同じようにこういった質問を投げてみています。