上司と部下の関係:チームパフォーマンスを上げる上司・部下のスキル ~その3~

引き続き上司側のスキルについてです。

  1. その部下が大まかな指示から詳細を自分で考えるようなマインドを植え付ける
  2. その部下が指示を噛み砕けるレベルまで指示の粒度を調整する(足元の成果を担保)
  3. その部下の成長に沿って指示の粒度を”大まか”にして考える割合を増やしていく

今回は2、3について説明します。

改めておさらいですが、上司が大きな方針を指示するだけで、部下は高い成果を挙げてくれるとチームパフォーマンスが高くなります。それを「阿吽の呼吸...続きはこちら。
一般的に書籍を漁ってみると、どうしても部下に向けたスキルについて書いてある本が多いですね。それは「受け手」である部下の方が人数が多く、一般に...続きはこちら。

■2. 部下が指示を噛み砕けるレベルで指示粒度を調整する。

次に2点目。どんな人材もいきなり最初から100点ではないので、部下それぞれの成長レベルに応じて指示の粒度を調整するということです。

もちろん理想は1を指示すれば部下が10の成果で返してくれることですが、最初は7とか9とかの細やかな指示しなければいけないと思います。指示していない残りの部分が”その部下が自分で考える価値”なわけです。

つまり優秀な部下ほど”大まか”な指示でいいわけで、上司としては手間がかからずに成果を出してくれます。その一方で新人なんて9の指示が必要でしょう。でも10説明してはならないのだと思います。でないとその人の”価値を出す余地”を奪ってしまうからです。

仕事ではチームで結果を出さなければならない以上、どんな仕事も成果を10で返してもらうことが目標です。いくら効率を求めて3の指示をしてみても、その結果5の成果しか得られなければ何度もやり直しになったり、仕事が成り立たなくなります。

そのために上司が指示を細かく説明するという”負担”は発生してもやむを得ないのではないでしょうか。そんな人に10の成果を出してもらうには、8の説明をすることを惜しんではならないですし、必要以上にその人をダメ出ししても仕方がありません。いきなり一足飛びに成長することは難しいのです。

一方でいつまでもそれではどうしようもないので、並行して7の説明が必要だった部下を1の説明で済むよう成長させることが必須です。それが2点目になります。

■3.指示をだんだんと粗くしてレベルを引き上げていく。

そして3点目。現状のレベルから部下を引き上げるにはこれが必要です。

それが筋トレと同じ、負荷の段階的な引き上げ。だんだん筋肉が付いてくると、30kgのウェイトではこれ以上腕が太くならなくなってきます。そしたら40kgにウェイトを上げますよね?その次は50kg、60kg。そうやって気がつくと範馬刃牙になれるわけです。笑

部下の成長も同じで、今は7の指示が必要で10の成果が出せていれば、次の指示は6とか5で出して、負荷を上げていくべきです。部下はその分苦労するのですが成長ができます。5の指示で10の成果が出るようになれば、4とか3にしてみます。そうやって負荷を徐々にあげることが必要で、いきなり2の指示を目指せ!なんていうのは投げやりでしょう。

このように語ると時間の慣れとともに、淡々と指示を”おおまか”にできていけそうに見えますが、段階を上げていくごとに部下は大きな壁にぶつかります。それに7→6の壁と4→3の壁は全く種類が異なるかもしれません。例えばイメージですが、

  • 7→6: タスクの大枠概念から少し噛み砕いたステップまでは指示してもらえているが、部下は詳細な進め方をどうしたら効率的か、考えられるようになる必要がある
  • 4→3: タスクの大枠概念は指示してもらえているが、実際の作業に落とすまでにもう少しステップを切り出すところから、考えられるようになる必要がある。

そしてそれぞれの壁を超えられるかどうかは部下の努力によります。上司はそれをサポートし、詰まっているようであればヒントを出してあげることが望ましいです。

さらにもう一つ重要なことが。それはちゃんと合間合間で褒めること。常に負荷をかけて一段高いところを目指し続けると、(側から見ると成長しているにもかかわらず)部下本人は常に四苦八苦することになります。

それを自分のスキル不足だと勘違いしてしまうことも多いため、一段高いところにチャレンジした結果、成長していることを褒めることが部下のモチベーション維持に重要です。

褒めが足らない人の場合、上手に部下の負荷コントロールしていたとしても、部下の反応は2つに別れるでしょう。

  • プロジェクトの間は必死すぎて余裕がなかったものの、終わってみて振り返ると成長できたように思う人
  • 実際は少しづつ成長しているにもかかわらず、その成果が部下自身で実感できないため、自身をなくしてしまう人

後者にならないためにも、部下のモチベーションコントロールも重要です。