自己研鑽:マネージャーまでにコンサルベーシックスキルを身につける。そのスキル習得の考え方。

僕が若手に対するキャリア面談(プロジェクトのパフォーマンスフィードバックを含む)でよくする話を書いておこうと思います。

今回フォーカスしているのは”コンサルティングベーシックスキル(以下コンサルベーシックスキル)”と呼んでいるのですが、ロジカルシンキングやスライド、エクセルスキル、ファシリテーションといったものを指しており、コンサルタントをやっていく上で土台となる共通スキルです。業界、業務といったナレッジはそのコンサルベーシックスキルの上に乗るものと考えています。

■コンサルベーシックスキルはマネージャーまでに基礎領域で一通りの合格点を取ることを目指す。

このコンサルベーシックスキルは新卒だろうと中途で他業界からやってきた人材だろうと、スタートラインが違うだけで身につけるべきことは変わりません。そしてマネージャーに昇格するまでに広く合格点レベルになっているべきと僕は考えています。マネージャーになるとプロジェクトあるいはチームを自身で牽引することが求められ、コンサルベーシックスキルで穴があると困る(プロジェクトの品質担保ができない)ケースが多く、マネージャーになるまでに一通りできる状態を目指すという考え方になります。

もちろんそれは最低限の要件なので、本来はさらに何か得意なスキルがあった方がよく、コンサルベーシックスキルとは別に業界、業務知見も必要です。

念のためさらに述べておくと、先述の理由からコンサルベーシックスキルでは”できないことをなくす”という側面があると思います。得意技を身につけることも必要だが、まずは一通りの合格ラインを取っていることで色々なタイプの仕事でも自走することができることを目指します。もちろんそこから応用編になれば得意分野(例えば僕自身の場合はファシリテーションなど)を磨き込むことがメインになります。その一方で業界、業務知識は何でも知っている状態を目指すのは現実的では無いので、これは得意領域を作る側面が強いです。

■片っ端から学んでいく完璧主義スタイルはダメ。基礎勉強をしながら満遍なくスキルを固めていくことで業務に活かしやすい。

新卒の人でもコンサルをスタートした時点(新卒研修が終わった時点)では得意不得意のステータスにばらつきがあります。そして得意といえど最初から求められる合格点には達していないので、全体的にコンサルベーシックスキルを身に付けていく必要があります。中途だとさらにスタートラインにバラツキがありますが、何かに秀でていることもあるでしょう。

そしてスタートラインだけでなく、勉強のように身に付け方にもいくつか方法があります。その中で「まず最初にロジカルシンキングを完璧にして、そしたら次に行こう!」という片っ端から綺麗に学んでいこうとするスタイルはダメです。勉強が得意で完璧主義の人によく見かけます。実際には仕事のタスクというのは複数のスキル要素から構成されていて、ロジカルシンキングだけで片付けられるものはありません。その時々の業務内容に合わせてある程度満遍なく学んでいかなければその業務に成果として反映することが難しく、結果として片っ端からスタイルだと当面の間何の役にも立たない可能性があります。

なので数ヶ月単位で見たら満遍なく各スキルを底上げしていく方がバリューが出ます。そして中でも優先するのは今のプロジェクトで明日から活かせるものを先に身に付けていくことです。自身での勉強と、現場での実戦はセットで繰り返される方が、”勉強して知ってる”状態から”自身のスキルとして使える”状態になるスピード感がかなり早くなります。

■何より大切なのは自分に足りないことを正確に掴み、自身でキャッチアップする努力をすること。

特に総合系ファームにおいては、プロジェクトの種類が多い分だけ、プロジェクトあるいはチームごとに使うスキルに偏りがあります。プロジェクト全体を見るような立場になるとベーシックスキルを満遍なく使うのですが、特にジュニアのうちは担当する範囲やレイヤーが限定されるため、例えば2ヶ月で提言を作る持ち帰り案件であれば、リサーチやヒアリング、エクセル計算の作業が中心になるかと思います。中間報告、最終報告で一部のコンテンツをプレゼンする機会はあってもファシリテーションを行なっていく機会はないかもしれない、といった具合です。

そのため身につける順番としては、満遍なく供えつつもまずは直近のプロジェクトで活かせるスキルを着実に身につけアウトプットにつなげる。そして幾つかプロジェクトを経る中で自分が未経験、あるいは苦手とする領域があれば、それを実践できるプロジェクトにアサインされるよう、積極的に働きかけて行く方がベターです。

何より大切なのは自分に足りないことを正確に掴み、自身でキャッチアップする努力をすること。なかなか定量的にスキルの良し悪しを測ることはできないので、自分の上司など客観的な目線で何ができていて何ができていないのかアドバイスを求めましょう。その上で、まずは自分で勉強するなり社内研修に参加するなりして自らハングリーに学びましょう(最近本当にこの姿勢を持った若手人材が少ない)。上司の指導を待ち続け、言われたことをしっかり覚えれば良いと思っているならコンサルティングファームには根本的に向いていません。

書籍による勉強については以下の記事をご参照。

■まずはキャッチアップに対する書籍のススメ。 再度書きますが、僕個人としては書籍による勉強を強く推奨します。書籍による勉強で効果的なのは2つ...続きはこちら。

それとこれは別の機会に書きますが、現場で上司の指導やフィードバックのみを受けて学んでいくと、その内容は深く具体的であっても体系立たなくなります。体系だった教育はそれなりに時間もかかるので教育コストが高いからOn the Job Trainingには向かないのです。そのため書籍や研修で体系だって学ぶことをセットにすると、より成長が早まるはずです。