相手が何を知っていて、何を知りたいかを意識してプレゼンを行うこと。もう初歩の初歩ですよね。
若手でも小さなミーティング用に1〜2枚の紙(スライド)を書いてレビューに持ってきてもらうと、もちろんこの相手の知っていること、知りたいことを意識して作成されたものを持ってきます。
でもそれが時間をかけて煮詰めに煮詰めた場合、例えばプロジェクトを通じて中間報告と最終報告だけのような案件では案外見落とされることがあります。
■自分が長い間それを深く考えていると、相手の前提を見失う。
いやいや、基本的なことなんだからそんなことないでしょ。引いて見るとそう思われるかもしれませんが、案外散見されます。
プロジェクトの前半ではクライアントが何を認識しているかヒアリングし、さらに知りたいこと、期待値も確認をします。そしてシンプルな議論からスタートしていくものです。
でもだんだん社内でディスカッションを重ねていくと、メンバーが納得して共通認識が取れた内容から、どんどん“前提”として扱われていくようになります。そしてその先の議論に場を移していくのです。
さらに議論が進んでいく、深まっていくなかで設定していた仮説が見直されたり、論点が組み直されたりしていきます。この過程で前提だったことは自分たちの頭の中で”あたりまえ”の内容になったり、あるいは前提が変わることもあります。こうして自分たちの前提が大きく変動すると、相手の前提を見失うのです。
■自分は曲線で繋がっていても、クライアントは点と点。
自分たちは毎日議論を重ねながら行ったり来たりして解にたどり着いたので、これまでの経緯が曲線で頭の中に入っています。でもクライアントは自分たちと同じ紆余曲折を経てません。
クライアントは前回一緒に議論したところから、今回の議論までの間がどうだったか分からず、点と点でしかつながりません。この間に前回提示した前提が変わったり、アップデートされた場合はまずそれを説明する必要があります。
あたりまえですよね?そうなんです。
でもその説明が抜けて、いきなり次の深い議論に入ってしまうことがあったりするのです。悪い場合は事前のマネージャーレビューでも気づかず、チームみんなでドツボにハマったままクライアントミーティングに挑むことすらあるようです。
■濃すぎる資料は理解が追いつかない。
自分たちは練りに練った深い内容を、いかに納得してもらうかに焦点が行きがちです。それはそれで正しい。限られた時間を使って、少ないページでシンプルに議論を進めようとしますし、そうすべきです。
ただこのときに前提説明、全体説明といった「相手を自分たちの前提に追いつかせる」内容を落とさない(消さない)ように意識する必要があります。
深く検討した濃いコンテンツだけを凝縮しすぎると、逆にクライアントの頭の中で飛躍を生みすぎて理解できなくなります。これでは検討した内容もそもそも伝わらず台無しです。
基礎的な内容ですが、意図的に深呼吸して、資料なり話す内容なりを見直して見るのが良いですね。