近年で最も思考停止ワードだと考えるのがDigital Transformationの、特にAI。
AIって聞くと、もうターミネータのことですかね、って感じですよ。だから各社がAIの提案用Offeringを作成する際は、表紙をシュワちゃんにするとクライアントの反応がいいと思うんですが。笑
ついでに英語で書くとかっこよく感じますね、デジタルトランスフォーメーション。笑
■”AI”というワードを吐けば人が畏れ、慄くのだ。
「このシステムにはAIエンジンが搭載されていまして・・・」
提案しに来た企業からAIという単語が出てくると、もう思考停止。水戸黄門の印籠のように「ははぁ〜ありがたや〜」と頭が下がり、どんな仕組みか想像も及ばないがゆえに、まるであらがえない魔法にすごい技術のような反応をします。ハリーポッターもびっくりです。
説明を聞いて、これが自社に導入できるかもしれないと知った暁には、
「フハハハハ!とうとう我が社にもAIの力がもたらされようぞ!!」
という聖帝サウザー様まで現れます。本当に現れます。
まずAIとはなんでしょう。AIとは明確な定義がない(=レベル感が曖昧)ため、何かを売る側の人たちからすると広く”AI”を捉えようとします。その方が売りやすいからです。
僕は個人的に「ほっといても自己学習していく機能があるか」を目安にしています。自己学習機能とは、実際に発生する事象をAIが経験し、その発生頻度や様々な傾向値を汎用化して、他の事象に適用することで実行精度を上げるというPDCAが自動的に回ることだと考えています。
エンジニアリング的にはもっと色々あるのだと思いますが、ビジネス観点ではざっくりこのようなことだと理解しています。
難しいことを言いました。難しいことを難しく説明するのはコンサルタントではありませんので、わかりやすく噛み砕きます。
■まず人間の思考で考えてみる。
<人の場合>
人は何かを判断する際、相手の発言のトーンや、立場、自分の置かれている状況、はたまた今日の曜日までものすごい数の判断材料から、無意識に様々なパターンを連想して最も適切なものを選んでいるわけです。これはすごいことですよ。
例えば”朝会社に行くときに傘を持っていくか”という判断。自分の意識では、
「あー、傘どうすっかなー。まぁチャリでいっか。ねみー。」
という程度です。でもこの裏側では、無意識に様々な判断材料からこの結果を導いています。

「さっき見た今日の天気予報は午後雨だったけど、今時点では降ってないし、空も西の方は若干青空も見える。でも一方で降水確率は夜が高かったし、今日は19時までミーティングだから雨が降って来る可能性が高い。ただしこの時間から家を出るとバスの時間にギリギリだし、もし乗れなかったら遅刻になるリスクを考えると、確実に一定の時間で駅に着くチャリで行くのが賢明かもしれない。帰りは駅にチャリを置いてバスで帰ってくると、明日も平日だから朝はバスで行って帰りにチャリをとって帰って来れば問題ない。いや、今日飲みに行く可能性が高いな。そうなると終電近くになって帰りの終バスはない可能性が高く、歩いて帰るのはシンドイし駅でタクシーに並ぶのも嫌だから、多少濡れてもチャリで帰ってくる方がいい。どうせチャリなら傘はさせないし、持っていっても仕方ないだろう。」
極端ですが、こんな感じで無意識に様々な判断材料を元に、ものすごい数のパターンからひとつを選んでいます。だからこそ高い精度で求める結果を得やすい。仕事もそうですね。
■AIは学習して人間に近づこうとする。いや、超える。
<AIの場合>
「もし現時点で雨が降っている、もしくは現時点で雨が降っていなくても天気予報で1日のどこかの時間で雨予報があれば、傘を持ってバスで行く」という判断ロジックがあったとします。これが今までのシステムです。
何日、何百日、何年とこのロジックで毎朝傘を持っていくか、あるいはチャリで行くかバスで行くか判断していたとしても、永遠にこの判断方法で毎日を過ごします。
AIだって最初はこんなレベルかもしれませんが、AIはまるで子供のように学習します。
例を替えてしまって申し訳ないのですが、最初は喋れなくても、一緒に生活をしているだけで話せるようになってくる幼い子のイメージです。
- 親が「パパだよー」と言って聞かせてみる
- 「パパ」という発音の後に必ず特定の人物が反応を示すことが視覚的にわかる
- その事象が多数繰り返されることで、やはり「パパ」とこの人物が紐付いていることが検証される
- 「パパ」という発音を繰り返しトライすることで、特定の喉・口の使い方で発音すると「パパ」という音が出ることがわかり、それに対して特定の人物が反応を示すことからナレッジとして蓄積される
「・・・おまえこんなすげーことやってるの?」
と自分の息子を見て怖くなりましたね。笑 そう、子供はすごいのです。これを目指しているのがAIで、技術的にはまだまだ発展途上なので程度に差があります。
ちょっと長くなってきたので続きはまた次回。