マーケティングオートメーション:そもそもMarketing Automationってなに?

今回はデジタルトランスフォーメーションの流れから、マーケティングオートメーションツールについて全体像を見ていきたいと思います。

今は不特定多数の顧客個人個人に対し、カスタマイズされた最適なマーケティング活動を行っていくことが主題になってきました。それに向けた必要なツールが今回のマーケティングオートメーションツールです。

■まずマーケティングオートメーションってなんのこと?

マーケティングオートメーション(Marketing Automation)って聞いたことありますか?

これもなかなか広くを指すワードなので曖昧な部分がありますが、ざっくりと言えば顧客に対するマーケティング活動を自動化するツールです。もうちょっと補足すると、

  • マーケティングなので顧客とのコミュニケーションを行うツールである
  • 自動化するということは人を介在しないということなので、デジタルチャネルでのコミュニケーションが主体となる(メール・SNS・Webなど)
  • 自動化するということは、システムにコミュニケーション先の顧客データがなければならないので、顧客データの管理も行っている

ということです。

「なるほどなるほど、よくわかんないけどイチイチ人が頑張って配信などを行わなくても良さそうな雰囲気だから”楽ちんになる”ってことかな?」

そうなんだけど、違います。

もちろん事前設定をしておくことで自動で配信や更新を行ってくれるというのは正しいのですが、このツールの目的を”工数削減”に置くことはメインではありません。

■じゃあマーケティングオートメーションの導入メリットって何?

デジタルトランスフォーメーションのテーマの1つに、パーソナライゼーション(Personalization)というものがあります。これは顧客個人個人の単位でサービス等をカスタマイズするということを指します。

簡単に例を挙げると、子供が生まれたばかりの人にはベビー服をお勧めし、もうすぐ還暦を迎える人には赤いちゃんちゃんこをお勧めするということです(後者は余計なお世話か・・・)。

もちろん店頭であれば定員が顧客の見た目や、何の商品を見て回っているか、あるいは会話の中でオススメする商品を判断して話しかけます。これをシステムにやらせるというのがパーソナライゼーションのひとつのイメージです。

ではメールはどうでしょうか?

BtoBでお客様からのお見積もり依頼があれば、お客様に応じてメールの内容を考えてやり取りするでしょう。でも何万人といる何かの会員に対して、1人ずつ個別の内容を個別のタイミングでやり取りできるでしょうか?

これが自動化することで、できるようになります。マーケティングツールなので企業→顧客の一方通行ではありますが、個々人の情報に基づいて配信する内容を変えたり、配信するタイミングを変えたりというのが自動で実現できます。

オートメーション(自動化)というのはHowであって、それによって達成したいことは「ものすごい量の顧客に対して、個人向けにカスタマイズしたコミュニケーションを行う」ことなんです。

ちなみにこうしてパーソナライゼーション(Personalization)、パーソナライズドコミュニケーション(Personalized Communication)といった単語を経営層に向かって使うと刺さりやすいです。色々なセミナーなんかで耳にする流行りワードで、顧客志向のモノだと結構経営の興味をひくものなので。もちろん、本質が何かも併せて答えられるようにしておく必要はあります。

■オートメーションと言ってもレベルは色々ある。なんでもカッコいいからと鵜呑みにせず、レベルを見極める。

オートメーション。

そう言うと唐突に未来のターミネーターがやってきて、理論はわからないけど自動的に色々なことをやってくれていると感じるかもしれません。でもちゃんと見ればレベルは様々で、おそらく現時点で多くの製品が”事前に設定しておいた通りに状況を判別する”という今までとそれほど大きな進化をしていない状態と思います。

要はオートメーションと言ってもAIで判断するものから、事前に設定しておいたロジックに沿って判断されるものなど程度があります。そうですね、これだとイメージが沸きづらいので・・・

<ロジック設定の場合>

もし商品Aを購入した人がいたら、商品Bをオススメしてね。

<AIの場合>

その人の過去の購買履歴を見て、同価格帯の他商品をオススメしてね。

といったイメージで、全てを事前に設定しなくてもある程度推察してくれるというのがAIのいいところです。でも同価格帯で勧めるのか、同カテゴリで勧めるのか、あるいは同年齢の人が頻繁に購入している商品を勧めるのかは、事前に人間が指定しておく必要があります。

“マーケティングオートメーション”というような流行りの単語に流されず、何ができるのか、なんのビジネスメリットがあるのかを見極めて使いこなしていくことが肝要ですね。