自己研鑽:経営層・マネジメント層向け説明ストーリー・資料の作り方〜ストーリー構成の作り方編〜

前回は経営層、あるいはマネジメント向け、もっと簡単にいうと偉い人向けの説明ストーリー構成・資料の作りで失敗の原因となりがちな事項について記載してきました。今回は具体的な自分たちが狙う結果を具体的な映像シーンとしてイメージすることと、マネジメント向けのストーリー構成の作り方を書いていきたいと思います。

前回までの記事はこちら。

今回は経営層、あるいはマネジメント向け、もっと簡単にいうと偉い人向けの説明ストーリー構成・資料の作り方について書いていきたいと思います。 ...続きはこちら。

構成を練るときはこれまで現場検討してきたサマリではなく、自分たちが狙う結果を先に決め、その肉付けにこれまでの検討結果を材料として使う。

基本的にマネジメント層に持っていく話というのは、自社チームとクライアントチーム両方を含めてプロジェクトの現場で練りこまれて合意されてきた内容であることが多く、よってマネジメントに向けてはそれをサマライズする様な進め方をする人ことが多いと思います。でもこのアプローチだと、これまで頑張って練り上げてきたコンテンツを自分の成果として、つい色々盛り込みたくなります。その気持ちはよーくわかりますが、それが問題のもとなのでグッと抑えましょう。

人によってやり方はいくつかあると思いますが、僕のやり方を紹介すると、これまでの検討結果をサマライズするという考え方はいったん捨てます。大量にある検討結果をサマライズするというアプローチをとるのは調査レポートや論文、概要説明資料など一定の網羅性を重視される文書には有効ですが、前述の通りどうしても”満遍ないけど広く薄いコンテンツ”になりがちです。

なので頭の使い方を切り替えて、マネジメント層との会議で”自分たちが狙う結果(≒会議の目的)”からストーリーを練り、そのストーリーのコンテンツ作りに必要な材料として、これまでの検討結果を使うというアプローチをとります。これにより”論点が絞られて内容が深く端的なコンテンツ”を目指します。

「まずは伝えたいことを決める」

というのがよく言われることですが、この言葉が先行してしまうと”伝えたいこと”が独りよがりで一方的になることがあります。”伝えたいこと”が相手にとって知りたいことと合致しているか、わかりやすいものかという観点が抜けて、”自分が言いたいこと”を一方的に言い放つだけになることがあります。

もちろんうまくできるは暗黙に、相手から見た観点も含んで伝えたいことを決めています。後ほど説明しますが、僕はまず”自分たちが狙う結果”をシーンで捉えることによって、相手の反応まで含めた相互的な検討がしやすいと考えています。そのシーンを実現するために”何を伝えるべきか”を決めるという順番です。

イメージしづらい部分もあると思うので具体的に説明します。

自分たちが狙う結果、つまり会議の目的を極力具体的な映像シーンとしてイメージする。実際の会議でそれが達成できたら綺麗なゴールとなる。

まず今回のマネジメント層との会議で僕らは何を狙っているのでしょうか?

  • XXXを承認してもらい、実行フェーズに進みたい
  • A/B/C案を比較検討した結果、B案で進めるべきと判断したので異論がないか確認し合意を取りたい
  • Y部署とZ部署で折り合いがつかないので、トップダウンで方向性を決めたい
  • 新規サービスの概要を決めたので周知して関連部署との最終合意(言質)を取りたい
  • 今後の進め方は合意が取れているが、それにあたってこういったリスクがあることを承知しておいてほしい

などです。

これはマネジメント層に限ったことではないのですが、会議で最終的に相手に何というセリフを言わせて自分たちに思い通りの結果に落としたいのか、これが明確である必要があります。そしてその狙った結果に誘導する様に説明のストーリー組みをします。ここまでやっている人はかなり少ないんじゃないでしょうか。

初めて会議をする相手でも、どんなキャラクターの人かクライアントからヒアリングして少しでも情報を集めて相手の反応をイメージします。そして相手がどんな人か知っている場合は特に、その人の態度・表情・口振りまで含めて具体的なイメージをします。つまりそのシーンでそのセリフを吐かせたら綺麗なゴールなのです。

マネジメント層向け資料の作り方

ちなみに一字一句同じとはいきませんが、自分のイメージしていたセリフを相手が言って綺麗にゴールが決まるとかなり気持ちイイです。ジョジョの第2部で、

「おまえの次のセリフはXXXという!!」

が決まるぐらい気持ちイイです。

自分たちが狙う結果を実現するために必要なストーリーを決める。中でもまず意思決定して欲しいことに絞ってメインストーリーを決める。

次にストーリー組みですが、特に1の意思決定してもらいたいことを構成の頂点として、その意思決定に必要なロジックと、その判断に必要な最低限の材料のみでメインストーリーを決めます。

「結論としてはDという内容で実行に進めたいと考えており、この場でその承認がほしい。これはE・F・Gという3つの論点から検討した結果、それぞれH・I・Jが良いと考えるため総合的なバランスと実現性からDという結論に至った。続いてE・F・G3つの論点について詳細を説明する。

Eは・・・

Fは・・・

Gは・・・

よってDという結論で承認を頂きたいがどうか。」

といった具合です。承認してもらいたい事項が複数ある場合は複数議題として盛り込み、上記は複数セット用意します。もっとも重要な承認事項を取りに行くメインストーリーはこの様な形になります。

次に2の検討結果の説明と確認を追加します。これは意思決定の論拠の中にまぶすこともあれば、メインの意思決定をOKしてもらった後にまとめて説明することもあります。後者を例にしてみると、

「また承認を頂いたのちのネクストアクションはK・L・M・Nの4点で、これまでのデータから傾向調査をした結果、O企業をベンチマークとしてP、Qの点に重点を置いて検討を進める。ネクストアクションはそれぞれいついつまでの期限とここれこれの体制で進めるので、関連部署は協力をお願いしたい。

また現時点でスケジュール遅延につながるリスクとして、外的要因のRがある。リスクが顕在化した場合はSについて再検討が必要になりスケジュールが1ヶ月程度延びると想定される。今後の状況報告は毎月のR会議体で行う。

以上について問題ないか確認頂きたい。」

といった感じです。これでプロジェクト現場で決めた進め方について確認と承認をとり、また承知しておいてほしいリスクについても言質をとるわけです。

このメインとサブを含めた全体のストーリー構成が非常に重要で、「今この瞬間に資料なしの口頭で1分で話せ」と言われたらこれをそのまま話すイメージです。余分な情報がないため端的でわかりやすく、かつロジックが納得できるものである必要があります。繰り返しになりますが、これが実現できていないと「それで?」と言われたり説明を遮られたりして会議が失敗に終わります。このストーリー構成を実現するために、これまでの検討結果のサマライズではなく、狙った結果に必要な最低限の構成要素を洗い出すアプローチをとっています。

僕はこれをザッと文章にします。PCのメモ帳で十分です(文章の練り込みは何度でも書き直しが効くPCの方が手書きより適している)。

これで終わりではありません。次回はこのストーリーラインを実際に資料化した後のブラッシュアップの仕方と、プレゼンに向けた準備について書いていきたいと思います。続きの記事はこちら。

前回までは具体的な自分たちが狙う結果を具体的な映像シーンとしてイメージすることと、マネジメント向けのストーリー構成の作り方を書いてきました...続きはこちら。